ダモ鈴木逝去 1950-2024 ダニエル・ミラーより追悼文

—February.13.2024 11:11:50

ダモ鈴木の逝去(2024年2月9日)をうけ、CANの一連の作品を発売しているMUTEレーベル、その創始者であるダニエル・ミラーより追悼文が届きました。心よりご冥福をお祈りします。

「ダモがどのように人生を生きたか、いまはっきりと思い起こすことができるのは、彼が自分自身に忠実で、過去ではなく未来を見つめながら、自らの活動範囲においてクリエイティヴに、思うがままそのやさしく屈託のない笑顔で行動する姿です」- ダニエル・ミラー

土曜日に、その前日ダモが亡くなったというニュースが入ってきたとき、彼の死に対する圧倒的な悲しみとともに、彼が美しく、心優しくクリエイティヴな魂で思うがままに自らの人生を全うしたことに、ある種前向きな気持ちを抱きました。

多くの人々と同様に、私たちは1971年から1973年までのCANとの仕事を通じてダモを知ることになったのですが、それに続く彼の人生の在り方もまた非常に感動的なものでした。彼はまたCAN以前の生活に戻り、さまざまな場所を訪れる音楽の”魔法使い”として、世界を旅し、音楽を共有したいと思うすべての人と演奏してまわったのです。

MUTEでは1980年代の後半以降、CANの音楽をリリースする幸運に恵まれており、CANの音楽とともに未だミステリアスな彼らの存在を出来得る限り今に蘇らせる役割の一翼を担っています。というのも、CANとダモは常に未来の存在であり、過去はおろか現在に縛ることさえほぼ不可能だからです。

私たちの想いはダモの家族と共にあり、彼の魂に感銘を受け、今後も感銘を受けるであろうすべての人々に私たちの愛が広く届きますように。

*英語原文はこちら



CAN、大好評の『CAN:ライヴ・シリーズ』 ヴォーカルにダモ鈴木をフィーチャーした第四弾を2/23に発売! ダイジェスト音源も公開!

—January.9.2024 12:00:19

「『ライヴ・イン・パリ1973』について、私がお伝えできることはほとんどない。そして、ここが問題の核心なのだが、そんなことはどうでもいい。実にどうでもいいことなのだ。」― ウィンダム・ウォレス(ジャーナリスト)

CANの伝説のライヴを、最先端技術を駆使してお届けする大好評の『CAN:ライヴ・シリーズ』、その第四弾となる『ライヴ・イン・パリ 1973』(LIVE IN PARIS 1973)が2024年2月23日に発売される。特筆すべきは、本ライブシリーズの中で初めてダモ鈴木がヴォーカルとしてフィーチャーされた作品が遂にリリースされる、という事実である。
また、1973年にフランス、パリのオランピア劇場で行われたライヴの模様を収録したライヴ盤よりダイジェスト音源が公開された。




本作のブックレットには、ジャーナリストのウィンダム・ウォレスが執筆したライナーノーツが掲載されている。今回の作品についてウォレスは次のように述べている。「『ライヴ・イン・パリ1973』について、私がお伝えできることはほとんどない。そして、ここが問題の核心なのだが、そんなことはどうでもいい。実にどうでもいいことなのだ。日の光を浴びてよくなる夢など、ほぼないと言っていい。これも例外ではない。誰が細かいことを知りたいだろう? トリビアやささいなことが必要だろうか? 彼らがどうやってこれを成し遂げたのかは知らないが、これこそが、私がようやくCANを聴けるようになるまでに、いつも想像していたCANの音そのものだったのだ。」

CAN は1968年にケルンのアンダーグラウンド・シーンに初めて登場し、初期の素材はほとんど残されていないかわりに、ファン・ベースが拡大した1972年以降は、ヨーロッパ(特にドイツ、フランス、UK)で精力的にツアーを行い、伝説が広がるにつれ、多くのブートレッガーが集まってきたのだ。『CAN:ライヴ・シリーズ』は、それらの音源の中から最高のものを厳選し、イルミン・シュミットとルネ・ティナ―による監修で、21世紀の技術を駆使して、重要な歴史的記録を最高の品質でお届けするプロジェクトである。

本作品は1973年5月12日、パリのオランピア劇場で行われたCANの変幻自在なパフォーマンスを収録したものであるが、ここで特筆すべきは、CANライブシリーズの中で初めてダモ鈴木がヴォーカルとしてフィーチャーされた作品ということである。1970年から1973年まで、CANはイルミン・シュミット、ヤキ・リーベツァイト、ミヒャエル・カロリ、ホルガー・シューカイの中心メンバーに、日本の即興演奏家でヴォーカリストのダモ鈴木が加わって活動。1970年、彼らは鈴木がミュンヘンの路上で演奏している最中に偶然出会い、その後すぐにCANに加入することになるのだが、1973年のこのパフォーマンスの数ヶ月後、彼の放浪心は再び彼を旅に導くことになった。

ライヴシリーズ最新となる今作では、CANのバンド・キャリアの中でも特に重要な段階を目撃することができる。彼らの最も称賛されたアルバムである『タゴ・マゴ』と『エーゲ・バミヤージ』は、後者がパリのパフォーマンスに影響を与えたものである。録音自体は、スプーン・レコードの保管庫内から見つかり、協力的なファンから送られた録音を組み合わせて編集され、このシリーズのすべてのアルバムをまとめ上げた、創設メンバーのイルミン・シュミットとプロデューサー/エンジニアのルネ・ティナーによって21世紀になって日の目を見ることになる。

1960年代末に結成され、それからおおよそ10年後に解散したCANは、催眠的なグルーヴと前衛的な楽器のテクスチャの大胆な融合により、彼らを史上最も重要で革新的なバンドの一つにした。そして今回のライヴシリーズ作品は、このバンドのまったく異なる視点を明らかにする。シリーズ一連のジャム・セッションでは、おそらくおなじみのテーマやリフ、モチーフが浮かび上がり、そこらじゅうに漣(さざなみ)のように広がるが、それらは時折渦巻く人混みの中で一瞬だけ認識される顔のようだ。別の場面では、オフィシャルにリリースされたアルバムには収められなかった音楽が聞こえてくる。これらのライヴ録音では、CANはスタジオの作業よりもさらに極端な領域、穏やかなアンビエントドリフトロックから、かつて「ゴジラ」とあだ名された白色矮星の音響メルトダウンまでに挑戦している。そして、メンバー同士が共有する非凡な音楽的テレパシーが聞こえてくるのである。

このライヴ・シリーズは、英誌Uncutのリイシュー・オブ・ザ・イヤーで1位、MOJOで2位を獲得したライヴ盤『ライヴ・イン・シュトゥットガルト 1975』(LIVE IN STUTTGART 1975)と、『ライヴ・イン・ブライトン 1975』(LIVE IN BRIGHTON 1975)、そして『ライヴ・イン・クックスハーフェン1976』(LIVE IN CUXHAVEN 1976)の3作が発売されている。

■オリジナル・アルバム概要はこちら。

商品概要
アーティスト:CAN (CAN)
タイトル:ライヴ・イン・パリ 1973 (Live in Paris 1973)
発売日:2024年2月23日(金)
CD
品番:TRCP-308-9 / JAN:4571260594104
定価:2,700円(税抜)/ 解説: イアン・F・マーティン
紙ジャケット仕様
海外ライナーノーツ: ウィンダム・ウォレスの日本語訳付

Tracklist
CD1
1 Paris 73 Eins
2 Paris 73 Zwei
CD2
1 Paris 73 Drei
2 Paris 73 Vier
3 Paris 73 Fünf

プロフィール
CANはドイツのケルンで結成、1969年にデビュー・アルバムを発売。
20世紀のコンテンポラリーな音楽現象を全部一緒にしたらどうなるのか。現代音楽家の巨匠シュトックハウゼンの元で学んだイルミン・シュミットとホルガー・シューカイ、そしてジャズ・ドラマーのヤキ・リーベツァイト、ロック・ギタリストのミヒャエル・カローリの4人が中心となって創り出された革新的な作品の数々は、その後に起こったパンク、オルタナティヴ、エレクトロニックといったほぼ全ての音楽ムーヴメントに今なお大きな影響を与え続けている。ダモ鈴木は、ヴォーカリストとしてバンドの黄金期に大いに貢献した。2020年に全カタログの再発を行い大きな反響を呼んだ。2021年5月、ライヴ盤シリーズ第一弾『ライヴ・イン・シュトゥットガルト 1975』を発売。同年12月、シリーズ第二弾『ライヴ・イン・ブライトン 1975』を発売。2022年10月、シリーズ第三弾『ライヴ・イン・クックスハーフェン 1976』を発売。そして、今回その第4弾となる『ライヴ・イン・パリ 1973』をリリースする。

www.mute.com
http://www.spoonrecords.com/
http://www.irminschmidt.com/
http://www.gormenghastopera.com