biography

90年代をかけぬけた、今で言うポストロック、オルタナティブな2人組鬼才ユニット。同時代の音楽家、DJ,各種クリエイターとの交友関係の広さ、慕われぶりから、「渋谷系の裏番長」の異名をもった。1993年、シングル「DAGGER TO FOOL」でデビュー、同年12月に発売されたアルバム「STARSHIP IN WORSHIP」で、その確信犯的オリジナリティが一挙に注目を集めた。折りしもバンドブーム真っ最中で、少年少女が熱狂する ジュンスカやユニコーンの時代に、「ロック」という様式そのものを解体し、ダンスミュージック、POPミュージックや世界のあらゆる感性に触れる音楽からエッセンスを抜き取り、Tokyoのカルチュアの中で再構築した、過激でキュートでセクシーな音楽を発信、シーンを震撼させるとともに、あっという間に周囲のミュージシャンたちから羨望のなかでリスペクトされ、セッションや競演を通じてシンパをふやしながら、次代の音楽シーンへの大きな牽引力となった。

セカンドアルバム「THE WORST UNIVERSAL JET SET」3作目の「Ⅲ」と評価を高めて確かな存在感を示し、1997年「SUPER HEART GNOME」 で第一期のピークを迎える。

その間もアナログリリースでDJ達にもメッセージし続け、自らも個性光るリミックスワークやセレクターとしての仕事を通じ、クラブシーンにも深くコミットした。

その後、2000年に入って活動は静かになるが、それぞれプロデューサーとして手腕を発揮しはじめ、個々の活動も充実し始める。

柚木隆一郎は、若手ヒップホップシーン、テクノシーンのオーガナイザー的な仕事も多く、クラブシーンとPOPシーンを有機的につなぐ、彼ならではのポジションで質の高い仕事をこなしてゆき、コーネリアスや砂原良則、電気GROOVEらと交流して、インスピレーションを交感してゆく。マネジメントオフィス主催イベント「神輿ロッカーズin OKINAWA」では同じ所属アーティストである KICK THE CAN CREW(KREVA,MCU,LITTLE)ら、やんちゃなアーティスト達を、兄貴分としてまとめあげた。

一方、會田茂一はギタリストとして数々のセッションに参加、独自なサウンドとリフのセンスから、1部のアーティストから熱烈な指名を得るように。ロザリオスなど、メンバー的な立ち位置で参加するケースも増えた。自らのユニット「FOE」 「HONESTY」では、親しいミュージシャンたちとの交流から、自分なりの新しい創作エリアを開拓。またボニーピンクや木村カエラなど、個性派の歌姫たちのプロデューサーとしても手腕を発揮しており、現在最も多忙なPOPシーンのプロデューサーとなった。

2004年、インディーレーベル、WAVE MASTERから、久しぶりのアルバムを発表、ライジングサンロックフェスティバルで1回きりのライブを電撃的に敢行するなど、ファンを熱くさせたが、その後はまた個々の多忙さの中で、EL-MALOは不気味な休火山のように、西麻布や三宿あたりのバーで交わされる音楽業界人たちの会話の中で、熱烈に復活を望むため息が聞こえるくらいに沈黙が続く。

さて2007年。RADIO HEADがまさに形骸化したロックビジネスを解体し、ディストリビューション形態を含めてあたらしいフェイズにはいり、ダウンロードのみでの新作発表を実施しはじめ、日本ではロックもヒップホップもすべて、携帯電話サイズのJ-POPという冒険心のダウンサイジングの渦に飲み込まれてしまったシーンの中で、まさに奇跡の復活プロジェクトは静かに始まった。

2007年春、久しぶりにEL-MALO再始動のミーティングがおこなわれ、とりあえずデモでも、と早速スタジオに入るや、あたかも前作からの作業がそのまま残っていたかのような勢いで 2人は矢継ぎ早に新曲を作り始め、夏の個々のソロ活動期間をはさんで、12月までに一挙に計約20数曲をしあげてしまった。休火山は、内深く、もたえぎる創作のマグマをたっぷり溜め込んでいたかのように。

発売は2008年3月を想定し、ふたりは着々と作戦を進めている。

真に刺激と冒険に満ちた新しい音楽をもとめ、フェスをはしごして貪欲に自分たちのロックを探している、元気で知的なリスナーは確実に増えた。

スチャダラがハローワークスというバンド編成で活動を活発化させ、電気グルーヴが8年ぶりのアルバム制作にとりかかり、宇田川町のお気に入りだったレコード屋の看板がひとつふたつと消え始める一方、大手レコード店では90年代作品のリマスターものがディスプレイされはじめた昨今。EL-MALOは間違いなく、今なお一貫して先頭を走っている。スタイルにこだわらないスタイル。貪欲に音楽のもつエクスタシーをとりこむ鋭敏なアンテナとセンスと技術をもつプロの音楽家の自覚。ゆったりと街をさまよいながら、街の鼓動を感じながら、狂気とロマンスに満ちたリアルなPOPミュージックをスタジオで錬金術のように生み出す二人の魔法の音楽が再び聴けることの、おおいなる喜び。

2008年が、音楽を愛するすべての人にとって、次なる幸せな未来をこじ開けるその年になってほしい。その期待を担い、EL-MALOの鳴らす鐘が、大きく鳴り響く。