トラックリスト
1.nEVER EVER
2.SCATMAN
3.COOL
4.Leavin' Waltz
5.Summer Phase
6.Contortion
7.maria ut vales?
8.Acid Song
9.Shock Shock Treatment
10.Karimba
11.Satellite of mine #2
12.Blenginʼs Song
13.Fool Jerk
14.Itʼs a Time (ending roll)
まさにBLACKEYED BLUE(黒き瞳の憂鬱) 超BLUESALBUM!!。 分類不可能!本年度最重要アルバム!。 もしくは NEVAEVA!(音楽的)貯蓄残高ゼロからのスタート!。くたばりぞこないが死ぬ気で造りました。皆さん心して聴いて下さい。アーメン。 (本人談)
これ以上いったら、ホントにボーダー越えちまう。行ってはいけない、狂気の世界へ、死の世界へ、フリークスの世界へ。このぎりぎり具合がコントロールできるこの人は、やはり鬼才。哀しいほど正直で孤独な、どうしようもないロックスターだ。彼の創る音楽は、とてつもなく無垢で美しい。もう、宇宙に体ごと投げ出されるような感覚を、音楽からもらったのは、ホントに久しぶりのことだ。
有り余る才能をもちながら、EL-MALO以外のめだった活動はほとんどしていない柚木隆一郎。(もちろん親しいアーティストから依頼されて、ごくたまに行うプロデュースや作曲、リミックスはどれもすばらしい!)いろんな面で、相棒の會田茂一(アイゴン)とは対照的だ。それが、おのれの持つシャイネスや、不器用さの結果なのか、あえて寡作な姿勢をつらぬいて、熱いマグマのような創作エネルギーを保っているのかは不明だが、本人の意図と関係なく、彼の存在は謎めき、アンダーグラウンドのカリスマとしては格好の、すさまじいオーラに包まれて、熱心な音楽ファンのハートに、熱く息づいている。
いい兄貴分で、気のいい酔っ払いという、日々お目にかかる仮の(?)チンピラ風情も、愛され、慕われ続ける彼の魅力の1部だが、しかしこのアルバムを聴いたあとは、そのあまりの才気に、きっと誰もが頭を抱え込んで、しばらくはうなされること間違いない。
スタッフとしての贔屓目でなく、誇りあるロックファンの一人として、まちがいなくこの作品は歴史的な傑作、問題作、そして怪作だ。
全体をつつむベールのような空気感はシュールでダーク。ときに悪魔的、カルト的な不気味ささえただよわすが、さて聴き終わった後のわが五感の、なんと愉快でさわやかなことか!
狂気を蓄えた、耽美な酔い心地。極上のシャンパンや、ワグナーのオペラに喩えたらほめすぎだろうか?この、狂気をはらんだ「愉しさ」は曲者だ。至上のエンタテインメントのみにゆるされた、中毒性のある刺激。一見とりとめのない習作を並べたような作品群だが、聴き込むほどに、構築された和声、対位法、リリック、音色の選び方、グルーヴの極み、音楽のすべての要素に対する、真摯な愛情ある仕事ぶりに気がつく。そして意外な収穫は彼の声の愛くるしさ!ボーカルの魅力が、「狂気をはらんだ愉しさ」を何倍にも増幅してくれる。それを見事に引きだし、自由な空間をつくって、彼の音楽を奔放に解き放ってくれた、サポートミュージシャンの力量と優しさが、これまたサウンドにゆとりある幸福をもたらす。演出しない演出、弾きすぎない技巧を、あたりまえのセンスとして、参加した皆がもっている奇跡のセッションの至福の結末。小山田圭吾をはじめ、絶妙な「真っ白な」スペースを、阿吽の呼吸で産みだしている。この絶妙にアレンジされた音の立体パズルだけでも、鑑賞の価値有。
唯一の美しい異物は 曽我部恵一だ。何の遠慮もなく、魂と汗のありったけをこめて叫ぶロックンロールのお手本のような長い1曲が、一瞬、アルバムの温度を急上昇させる。ただそれもすぐに、純度の高いアイスのような柚木液に冷され、暴力的に封じ込められる。そのダイナミズムもまた興奮を高める。SとNを目かくしされたまま行き来するような、不安な興奮と、密やかな悦楽、その果ての、未知なる自分の発見への、インナートリップなのだ。
この作品に似たものを、僕は思いつかない。レディオヘッドのようでも、ポーティスヘッドのようでも、トーキングヘッズのようでもあり。(今気づいたが、ぜんぶヘッドがついてる!)大瀧詠一のようでもありビートルズのようでもある。破綻直前の、あまりに覚醒しすぎた想像力とイメージの権化。
まあ言葉では語りつくせないこのアルバムではあるが、それを言葉にあえておきかえて、酒場であーだこーだ議論する楽しさをも、この作品は与えてくれる。ひとりでも多くの心ある音楽ファンが、なんらかのきっかけでこの作品にたどりつき、またロックへの情熱をたぎらせ、久々に燃える恋を夢見、やたらと発情したり、叫びたくなったりし、忘れていた何か、凶暴で、卑猥で、純粋で、無垢な人間の基盤になっているDNAをとりもどすきっかけになってくれることを、切に願う。
1枚でも多く売れてほしいとは思わない。一人でも多くこの毒の中毒になってほしいと、ひそかに願う、僕はよくない、よこしまなスタッフだ。
A&R ハリー吉田
コピー
大人になるにつれ失ってゆく青臭い(少年ホルモン)のような衝動、どんなにヤバいことがあっても、うちに帰ってかあさんに言えばなんとかなるや、といった感じの、邪心のない楽観的な鈍感力。そして、ぐっすり眠って、夢のよう夢をみることができる、純正メラトニン。グラマラスで、かっこいいロックスターが、おとなになりきれない僕たちにくれるこれらのギフトは不滅かつ、人生の長旅で必需品。このアルバムにそのエッセンスがびしっと詰まっているから、確信を持って僕はすべての不良少年、中年たちに、大推薦するわけだ。
柚木隆一郎は、身を挺して、橋の欄干をおどけてよろよろ歩いてみせる。少し疲れた僕たちを笑わせるだけのために。
下は見えないくらいの、底なしの谷底なのに。
こんなことできるのは、かれが非凡なるがゆえ。
素面なら天才、酩酊してたら(あるいはハイなら)鬼才、何も考えてなかったら、子供か神様。
いずれにしろ、素敵です。