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ピッチフォーク「ベスト・ニュー・ミュージック」レビュー訳(抜粋)
エイフェックス・ツインが90年代初期のレイヴカルチャーから遊び心に富んだ共同体の熱を取り出して、素晴らしいパーソナルアートに仕上げたり、ゼロ年代のプロデューサーたち、例えばFenneszやTim Heckerなどが最新のソフトウェアを駆使して新世界をクリエイトしてきたとしたら、アルカは現在この瞬間においてのアブストラクトなエレクトロニック・ミュージック、コンピューターの埒外に存在する人間的な観念の一つとしての音楽を作り出している。
前作Xenに比べ、Mutantは練り上げられた感が少なく(直感的で)、クラシック音楽からの着想も少なく感じる。前作の楽曲の大半のトラックではちょっと目を凝らさざるを得なかったり、物凄く斬新なアンサンブルで音が鳴らされる様を想像したことであろう、言うならばエイフェックス・ツインとアラーム・ウィル・サウンド的な。しかしながらMutantはもっとサウンドスケープよりで、通常の楽曲作りを意図して避けている様だ。アルバム後半部分、特に”Enveloped”ではビートが突然鳴り出し、ある種の従来のポップな楽曲構成かなと思ったところで、トラックはねじ曲がりメロディに相当する部分は超異質なものとなり、今までラジオで活躍していたアーティストからすると別世界のものと言える。容易く聞けるものではないのだ。つまり、これは一種の生き物のように眩いばかりの音楽で、このアルバムを他のものと同じ感覚では到底語れるものではない。スペインの建築家、アントニオ・ガウディ曰く「直線というものはもともと人間のもので、曲線こそ神のもの」;このMutantにおいて、アルカは穴だらけのものや不完全なものへの拘りを、一種の精神的な悦びにまで昇華させている。
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